明治伊万里プロジェクトの今後の抱負
さらなる進化を遂げた「平成伊万里」の確立を目指して
制作中の作品:染付霊獣文クーラー 江戸末期から明治30年ごろにかけて、さまざまな陶工たちが七転八倒しながら生み出してきた「明治伊万里」。そのほとんどが海外に渡り、すべてを見ることができないなかで、限られたお手本から先人たちの技術を学び、復刻を続けています。しかし、これが最終ゴールとは思っていません。
そこをもう一つ超えて、さらにその先にある「平成伊万里」を生み出すこと──それができて初めて、やってきたことが意味を成すと思っています。そのためにも、新たな試みにも精力的にチャレンジしています。
酒クーラー その一つが、ワインクーラーならぬ「酒クーラー」の製作です。九州というと焼酎のイメージが強いですが、佐賀県は米どころでもあり、九州のなかでは日本酒も盛んに造られています。近年、アメリカでは日本酒ブームが起こっていて、シャンパン感覚で飲める発泡性の日本酒を造るメーカーも次々に出てきています。そんな時代性も踏まえ、地元の酒造メーカーとのコラボレーションで、「明治伊万里」の酒クーラーをアピールできたらおもしろいのではないかと思い、ニューヨークの紀伊国屋書店での展示会に出品します。
永遠に忘れてはならないものづくりの原点
新作 一方、原点を忘れてはいけない、という想いも強く持っています。
たとえば、土づくり。陶石を砕くとき、昔は「唐臼(からうす)」という道具を使っていました。一方に水槽、もう一方に杵頭を備えた天秤式の道具で、渓流から引き入れた水の力を使って、非常にゆっくりしたスピードで陶石を砕くのです。
今のスタンパー(粉砕機)で、水車と同じようなスピードで陶石を砕くことはできないものか、陶土屋さんに相談したところ、スタンパーの部品を変えればできるとのことだったので、さっそくお願いしました。
新作 唐臼を使っていたころの様子を古老に尋ねると、「陶石をゆっくりと砕くと、花粉(はなこ)が飛ぶんだよ」と言うんです。花粉とは、陶石を細かく砕いたときに出る微粒子で、それがフワーッとあたり一面に舞い上がる。そして、つき終わると、機械の周りについた花粉を刷毛で落として、土に混ぜるんだそうです。
そんな花粉が飛ぶくらいの、昔ながらの陶土で作ったらどうなるか──それがロマンだと思うんですよ。昔はさらに、陶土を10年、20年寝かせてから使っていたわけですから。ものづくりというのは、本来そういうスピードで伝承されるのかもしれませんが、世知辛い世の中、そうも言ってられません。でも、そんな精神はいつまでも忘れずにいたいと思っています。
※このセクションの文章は、「明治伊万里」復刻プロジェクトプロデューサーの西城鉄男氏と、有田製窯株式会社代表取締役松本 哲氏へのインタビューを元に構成しています。


「明治伊万里」の定義とは? 様式とは?





